Friday, September 01, 2006

映画「二重被爆」


映画「二重被爆」
二重被爆とは1945年8月、広島、長崎両市で被爆した事を言う。投下後2週間以内に残留放射能を浴びた入市被爆も該当者となる。現在全国で100名以上の患者がいるとされているが、正式な報告は行われていない。それは、調査が始まった時点が遅かった事、当事者が高齢、もしくは既に亡くなってしまった事等が上げられる。この作品は山口彊さん(90歳)を始め7名の二重被爆者にインタビューを行い、60年以上歴史の中に埋もれてきた二重被爆の実態を明らかにする。山口さんは「死ぬまでに語り尽くしたい」と渾身の証言をする。
最後の画面では、山口さんが被爆体験をもとに自分の思いを書き綴った句集「人間筏(いかだ)」が紹介される。人間筏の題名は広島の大田川と長崎の浦上川の鮮烈な光景からつけたもので、4年前に出版された。
 大広島 炎え轟きし 朝明けて 川流れ来る 人間筏 ピカドンに 身体燃かれし 傷の跡 老いてれて薄れて 今日広島忌 くろぐろと 数かぎりなき 佛立ち 真夜立ち上がる 原爆図より うち重なり 灼けて死にたる 人間の脂滲みたる 土は乾かず

映画のなかで山口さんが、涙ながらに短歌を読み上げる。
筏のように川に流れる死体を目の前にして、山口さんの心中は、察するに余りある。
平成18年9月2日

0 Comments:

Post a Comment

<< Home